知ってる?<3> パラリンピックの競技②

パラリンピックを知る連載2回目です。

今回は「オリンピックと競技方法が異なる競技」をお伝えします 🙂 

オリンピックとは競技方法が異なるものは5つあります

・シッティングバレーボール   

  1956年にオランダにて、戦争で負傷した人が考案したスポーツで、1980年にパラリンピックの正式種目となりました。現在は、誰もが楽しめるスポーツとして普及が期待されています。

 

 シッティングバレーボールはクラスが障害の程度によって2つに分けられており、障害が軽いSV(シッティングバレーボールの略)Ⅱクラスと、障害が重いSVⅠクラスで構成されています。

 

 シッティングバレーボールは、その名の通り、座った姿勢で行う、障害がある人もない人も共に楽しむことができるバレーボールで、1チームは 人で行われるチーム競技です。一般のバレーボールよりもネットの高さを低くし、狭いコートで行います。

 床に臀部(お尻)の一部をつけたままプレーをするのですが、ボールはオリンピック競技と同じバレーボール球を使用します。そして、コートの広さは一般のバレーボールコートよりも狭く、ネットの高さも座位で行えるよう低く設定されている(男子1.15m、女子 1.05m)のが特徴的です。

 

 また、サーブ、ブロック、スパイクなどの際に立ち上がったり、跳び跳ねることで、床から臀部が離れたり、浮いたりすると反則になりますが、レシーブの時のみ短時間なら臀部が床から離れてもOKとされているところも、一般的なバレーボールとは違うところです。

 

 試合中は選手がコート内を足だけでなく手も使って素早く移動する光景を見ることができます。また、座ったままプレーをしますが、選手たちが放つスパイクは、通常のバレーボールと比較しても負けないくらいの迫力があります。

 

・車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)

 

 車いすラグビーは1977年にカナダで考案され、パラリンピックには2000年のシドニー大会から正式競技となりました。

 

 車いすラグビー、通称ウィルチェアーラグビーは車いす競技の中では唯一、車いす同士がぶつかるタックルが認められている競技で、激しいタックルで車いすが転倒することなどから「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれています。パラリンピック競技の中では群を抜いて激しいスポーツとも言えるでしょう。     

 

 競技に使用される車いすは激しい衝突にも耐えることができ、ポジションに応じた役割が果たせるように頑丈かつ形状に工夫がなされた専用の車いすを使用しており、ボールはバレーボールを参考に開発された専用球を使っています。

選手は頸随損傷や機能障害など四肢に障害のある選手たちが1チーム4人で出場し、ボールを蹴ること以外の方法(投げる、打つ、ドリブル、転がすなど)で保持しながら相手側のゴールラインまで運びます。ラインに達すると得点になります。ただし、通常のラグビーと違う点としてボールを運ぶ際に前方へのパスが認められています。

1試合は8分間あり、それを4回行います。

 

 選手は障害の程度によって0.5点〜3.5点までの持ち点が与えられていて、コート上でプレーする4人の選手の合計が8.0点以内にしなければならないなどの細かな規定があります。(0.5点きざみで数字が大きいほど障害が軽い)

相手の攻撃や防御を阻止するために車いすで果敢にタックルし、激しくぶつかり合う光景は迫力があり、車いすラグビーの見どころでしょう。

 

・車いすテニス

 車いすテニスは1992年のバルセロナ大会から正式競技となっています。

コートの大きさやネットの高さ、ラケットやボールなどの用具は一般のテニスとほぼ同じルールで行われますが、車いすテニス独自のルールとして、ツーバウンドでの返球が認められています。(通常のテニスは1バウンドで打ち返しますが、車いすテニスは相手の球を打ち返す前に2バウンドまで認められています。地面に3バウンドする前に打ち返さなければなりません。)

 

 選手たちは軽量で回転などの操作性が高い専用の車いすを使用して、競技中は素早く向きを変えるなど巧みな操作で熱戦を繰り広げます。

 車いすテニスのクラス分けは、男女別のシングルス、ダブルスの他に、男女混合のクァード(下肢に加えて腕部にも障害をもつ選手のクラス)のシングルとダブルスがあります。

 

 クァードクラスはアテネパラリンピックから正式種目となりました。このクラスでは腕の筋力が弱い選手もいるため、ラケットと手をテーピングで固定することや、電動車いすを使用することが認められています。また、障害によって体温調節が困難な選手もいるため、日よけや氷入りのバケツを用意することが義務付けられています。

 

・車いすフェンシング

車いすフェンシングは1960年の第1回ローマパラリンピック大会から正式競技として行われています。

車いすをピストという装置で固定し、上半身だけを使って相手を剣で突くという特徴のある車いすフェンシングは、一般のフェンシングと同じルールで、使用する用具(ユニフォームや剣、防具)も同じものを使用します。

試合では剣の種類や攻撃できる場所の違いによって「フルーレ」、「エペ」、「サーブル」の3つの種目があります。

 

フルーレ:

柔らかく断面が四角い剣を使用します。相手の胴体(メタルジャケットを着ている部分)のみ突くことができます。剣先に500gの力が加わると色ランプが点いてポイントが入る仕組みになっています。突くとポイントが入る所は相手がメタルジャケットを着ている部分(胸部、腹部、背部)と、マスクの喉です。

 

エペ:

フルーレとは違い、上半身ならどこを突いてもOKです。相手より速く突けばポイントが入ります。

 

サーブル:

サーブルの剣は平たく刀のような形状になっています。フルーレやエペと違い突くだけでなく斬るという動作も入ってきます。相手の胴体(メタルジャケットを着ている部分)のみ突きや斬りをしていいです。剣についたセンサーが振動をとらえて相手を斬ったかどうかを感知する仕組みになっています。

 

 上記のフルーレとエペはそれぞれ男女の個人戦、団体戦がおこなわれ、サーベルのみ男女の個人戦のみが行われます。

 

 車いすフェンシングは、対戦相手との距離が近く座った姿勢で行うため、剣のコントロールと突く、斬るスピードが勝敗を分ける競技です。近距離で繰り広げられる選手同士のスピーディーで華麗な剣さばきと駆け引きは見ている私たちも思わず手に汗握ってしまうほどの迫力があります!

 

・車いすバスケットボール

 車いすバスケットボールは1960年のローマ大会から正式競技となっていて、人気のある競技の1つです。下肢などに障害のある選手が競技用車いすを巧みに操作しながら、55で戦い、精密なパスワークが行われるスピーディーかつダイナミックな攻防が目を引く競技です。

 

 車いすバスケットボールで使用するコートの大きさやゴールの高さ、試合時間などは基本的にオリンピックで行われるバスケットボールと同じルールに基づいて行われます。ただ、ボールを持ったまま2回までこぐことができるなど、一部のルールは車いすの特性を考慮したものとなっています。

 

  また、競技中に使用する車いすは回転性や高さが得られるようなバスケットボール専用のものが使われます。急発進や細かいターンなど、競技中の動作をサポートするㇵの字に取り付けられたタイヤなど、選手たちに合わせて作られたオーダーメイドの車いすにも注目です!

競技は1チーム5人の選手が、1試合10分のピリオドを4回行います。選手の障害の程度によって持ち点がそれぞれ異なり、コート上でプレーする5人の持ち点が14.0点以下でないといけないなど、細かな規定があります。

(最小は1.0点~最大4.5点まであり、0.5点きざみで、数字が大きいほど障害が軽くなります。)

 

例:

1点・・・車いすの座位でのバランスが取れないため、背もたれから離れたプレーはできない

4点・・・ごく軽度の下肢障害を持つ選手が当てはまります。