つなげる つながる<3>「新宿しQハニー」

 新宿区立障害者福祉センター1階の「喫茶ふれんど」で「新宿しQハニー」が販売されている事は皆様ご存じでしょうか。

最近では伊勢丹新宿店にて「新宿しQハニー」を使った和菓子・洋菓子の期間限定販売が行われる等「新宿しQハニー」の活用の場が広まってきています。

今回は様々な所で話題の「新宿しQハニー」がどのようにして生産され皆様のお手元に届くのかをお伝えします。

 

 「新宿しQハニー」は「しんじゅQualityみつばちプロジェクト」で作られたハチミツの名称です。

 「しんじゅQuality」とは、新宿区内の身体、知的、精神に障害のある方が働いている施設のネットワークのことで、障害のある方の就労機会を作り出すと共に、地域住民との交流を育むことを目指して、2019年に立ち上げたプロジェクトです。新宿区内の30の福祉事業所で構成されており、普段は食品や雑貨などの自主製品を制作、販売するほか、企業などから仕事を請負って作業しています。

 「しんじゅQualitみつばちプロジェクト」は、「しんじゅQuality」に登録している10か所の事業所が参加し、日々協力し合い、切磋琢磨しながら取り組んでいます。

 

 この事業で生産されるハチミツは、プロジェクトで飼育している「セイヨウミツバチ」によって、新宿区内の公園や街路樹等からミツを集めて作られており、様々な花や木々から採取して作られる「百花蜜」です。この「百花蜜」は、色々な花のミツを集めて作られるため、採取した時期や場所で、色も味も異なります。採取時期は、大体5月から9月までで年3回から4回程度となります。

 ぜひ、月ごとの「新宿しQハニー」の色や味の変化を楽しんでいただけたらと思います。

 

 

<具体的な取り組み>

4月に北海道から越冬のため茨城県に移されていたミツバチたちが当センター屋上にやってきました。

四谷地域センター以外にプロジェクトを実施している区立施設はこれで2か所目になりました。

 

5月には今年最初の採蜜を始めました。写真は遠心分離機にかけて不純物が取り除かれたハチミツを採っているところです。

 この月以外に、6月、7月も採蜜を行いました。1回の作業で69㎏も採蜜することができた月もありました。

 

 

7月からは今年獲れたハチミツの瓶詰めを開始し、8月末からハチミツ販売を開始しました。

商品は、当センター1階にある「喫茶ふれんど」をはじめ、「ふらっと新宿」各店舗、「漱石山房記念館内『カフェ・ソウセキ』」でも販売しています。

9月には、今年度の採蜜はすべて終了しました。

来年度もミツバチたちが作った希少な純新宿産ハチミツを多くの方にご賞味いただけるよう、大切に育てていきます。

 

新宿区内には新宿御苑や公園、街路樹など自然がたくさんあり、桜やバラ、ゆりの木など季節ごとに咲く花が豊富にあります。新宿しQハニーでは瓶に採取した日付や場所をラベルに記載しているため、商品を手に取った際はぜひご確認してみてください。

ミツバチたちが集めた季節ごとに風味の異なるハチミツを楽しんでみてください。

 

「セイヨウミツバチ」を育てるために気を付けていることがたくさんあります。

特に気を付けていることは、「分蜂(ぶんぽう)」です。ミツバチたちは、一つの巣箱に1匹の女王バチとその子供たちで1つの群れを作っていますが、春先は、巣箱に新たな女王バチが誕生し、古い女王バチが子供たちを引き連れ、引っ越しを行うことがあります。これを、「分蜂(ぶんぽう)」といいます。この「分蜂」を防ぐため、内検作業を行い、新たな女王バチが生まれていないか、確認作業をしています。また、内検作業では、分蜂の他に、病気になっていないかなどの確認も行っています。

 内検作業は、春から夏(3月~8月)は、週に2~3回、秋から初冬(9月以降11月末まで)は、週に1回~2回、冬(12月以降2月まで)は月1回程度行い、冬場はミツバチのご飯として、砂糖水やミツバチ用の花粉等を与えて越冬できるようにしていきます。

 ミツバチたちはとても繊細で、暑さや寒さに弱いため、巣箱の温度を平均で30度~32度で保つようにしています。